Bitter Memories

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私はこの三角屋根の所に住んでいた。
2階までしかないように見える建物だが、屋上に出るとそこにまたひとつ家が乗っているような作りだ。
実際はなかなか広い家で2ベッドルームといっても日本の3LDK以上の床面積があった。屋上部分の専用空間も広く、来た人がよく「ここでバーベキューパーティーができるね」と言った。
私自身はパーティーなどにまったく関心がないので、3ヵ月ほど住んでいる時ただの1度も人を集めたことがない。
隣というものがない構造で階段部分と家の部分に両方とも施錠する為、独り静かに暮らすには適していた。
気温の低いサンフランシスコに30年以上住み、その後は暑いといっても空気の乾燥したラスベガスにしか住んだことがないから、高温多湿で石造りのグァム式建築物は酷いという印象しかない。
ラスベガスの家は3階建てくらいなら内側はみな木製であるし、一般家屋でも工業用かと思うほど強力な冷房設備があるのでさほど暑くなかった。心配していた電気代もじつはグァムよりだいぶ安く、あの水の少ない砂漠地帯でも水道代はグァムより安かった。
グァムほど日差しの強い所でなぜ建物がすべて石造りなのかは大きな謎だ。木を使った建物なら室内は暑くならないのに、そういった点にまったく考えの及ばないのが南国の人達なのだろう。いくら台風がある島といっても石で作るばかりが丈夫な建築ではない。本当に未開の離島らしく何もかもすべてが遅れているのがグァムで、私はその後進性に耐えることができなかった。