Utility Poles A

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1枚目。東京のある街。地下埋設工事が進んでいるため、やがてこれらの電線は視界から消える予定だ。
2枚目。サンフランシスコでも住宅地ではまだ電柱の立っている所が多い。しかし、日本よりはるかに少ない電線の数で、あまり目立たないのが面白い。
同じような景色の写真がなく、この程度しか似たものがみつからなかった。

日本の街は、電線と電柱が景観を悪くしている。
頭上のそれらを撤去するだけで街は劇的に美しくなるのだが、なぜか日本人は「電柱は日本の伝統的景色だ」「地下埋設は金がかかり過ぎる」「地震国の日本は電柱のほうが良い」と言う。
実際は電柱の倒壊などによる交通網の遮断が災害時の復旧作業を困難にする。地下埋設は地震の揺れに対して強いのだそうだ。
費用は確かにかかる。しかし、物事にはスケールメリットというものがあって、ある程度の規模になると急激にコストが下がるのである。独りで軽トラックを運転し、小規模卸売店からバラ売りで物を仕入れて運ぶと高い物が、複数で普通トラックを使い、倉庫からまとめ買いして仕入れるとだいぶ安くなるのと同じだ。
また、工事に金がかかるといってもそれは日本人が日本国内で消費をするのだから、景気を良くする効果があるのだ。
税金が公共工事に使われる、資材が売れる、施工業者その他が儲かる、飲食店その他が儲かる。今の日本は潤沢な資金を持ちながら、それを内部留保などといって会社がため込んでしまっているため1990年代以降経済の立ち直りを妨げているのだから、電柱の地下埋設で金を動かすことが経済の足を引っ張るとは言えないだろう。
結局、一番の問題は日本人の景観に対する意識であって、これが変わるまでは少なくともあと50年、或いは100年必要だと思う。
経済規模でいえば欧州のほとんどの国をはるかに上回る豊かな国なのだが、街の美しさでは100年遅れているのが残念である。