Insanity
どこに行っても何を買うのでも、商品が溢れているから選択に迷うほどだ。
日本での問題は、常に女性を避けて行動しないと不審者扱いされることである。
道を歩いている時も近づき過ぎると「後をつけている」と言われかねないし、店で商品を探す時も女性が通路にいたらそこは諦めるほうが無難である。うっかり何度も同じ通路を歩いたり品物を見たりすると「私に近寄ろうとしている奴がいる」と通報されそうなのだ。
会社の女性に「そのヘアスタイル、可愛いね。」と言って、セクハラと訴えられる例があるそうだ。
酷い例では近所の母子に挨拶しただけで不審者扱いされ、その日の夕方に事情聴取をされた芸人か俳優がいる。これは定期的に記事を載せている人だからそれなり名の通った人なのだが、近所にはそれが誰だか知られてなく、暑い日だったため薄着にビーチサンダルというファッションだったことが災いしたようだ。
アメリカ暮らしの長かった私には少し異常な社会のように見えるが、日本で生きていこうとしたらそれくらいは身を守る常識として知っておくべきだろう。
先日も私がある所の階段で立ち止まったら近くの女性が方向転換し走って逃げた。
偶然に忘れ物を思い出したとかではなく、逃げるという行動だったのは明白だった。すぐ近くに交番があったから駆け込んだのかも知れない。私は階段の前でコーヒーショップを見て、昇り始めてから引き返してその店に向かっただけなのである。しかし、女性の側からすれば階段で立ち止まる男など不審者以外の何者にも見えなかったのだろう。
持っているバッグが女性の体に触れただけで痴漢と呼ばれ、そこしか吊革に手の届く所がないから立っているのに「怪しい男が近くに居続ける」と言われるのが日本だから、ずいぶん暮らしにくくなったものだ。
もちろん私も注意して生きてはいるのだが、立つ場所・体を支える場所・座る所・見る方向まで常に女性を避けなければならない社会は疲れるものだ。
商品を見たいのに、通路に女性がいるだけで近づけないのは不便な国だと思う。
