Nov. TOKYO

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また日本に来た。
いつもホテル暮らしばかりの訪日だが、今回は珍しく向島にある親族の家に泊めて貰っている。
この写真はその滞在先のベランダから撮った一枚だ。
木が少なくてビルばかり建ち並ぶ東京。左隅に写っているのはスカイツリーである。
本当は街中の写真を載せると良いと思っている。しかし、先ほど買い物に出たときはカメラを忘れてしまった為なにも撮ることができなかった。
墨田区向島は下町であり、細い路地とローカルな個人商店がたくさんある所だ。小さな釣り道具屋があったりショーウィンドウに二眼レフカメラが置いてあったりする店のある古い町である。しかし、少し車で走ると広い幹線道路が何本もあってさすがに東京だと感じさせられるのがここである。江戸の昔はこの辺こそが庶民の暮らす中心地だったのだ。
何度来てもそのたびに新発見があって面白いのが日本だ。
今回の発見あるいは再認識は、姉がまったく休むことなく一日中なにかし続けていることだ。日本の人は皆そうなのだろうか。
起床する、朝食を作る、洗濯をしてそれを干す、次は家の掃除、思いついたようにPCで何か調べる、仕事に行く、帰宅すると洗濯物をしまう、アイロンもかける。その後すぐまた何か作業をする。私が居るときは食器洗いと自分の洗濯物をこちらがするが、普段はこれを姉がひとりで行なう。服が切れたりボタンが取れたりすると修繕する。ドアの不具合や照明器具の変更もするし、とにかく家の中のほぼすべてを彼女がしてしまうのである。
今はもう他界しているが、亭主は呆れるくらい不器用な男だったので電球の交換さえできない人だった。仕事と人脈の構築だけは得意な人だったらしいが家の中ではただ座って本を読むかテレビを見ることしかしなかったのである。悪い人ではない、しかし、ネジが外れてもそれさえ直すことのできない男だったから、家の中では必然的に姉が男の代わりをしていたようなものだった。
姉も昔はただの専業主婦的な人だったと思う。私は早くから日本を離れていて昔のことをよく知らない。
やがて何かの事情でパートタイムで働きに出るようになった後、姉は次々と職場を変えた為、やけに物事全般に詳しくなったのだと思う。
ホームセンターで働いたりクリーニング屋さんで働いたり、児童施設で働いたり介護の仕事をしたり、浅草で観光ガイド的な仕事をしたりという具合だから面白いほど多方面の知識や技術を身につけて、それが人を器用にしてしまったのだろう。
昨日は東京から2時間近く離れた神奈川の家に行き、空き家の掃除や草刈を手伝わされた。私は往復の運転と力仕事そして草刈を命じられた。
彼女は行く前の準備もじつに見事にして、着いたらすぐ作業である。
私自身引越しを何度かしているので物の整理がいかに大変かは分かる。それを手際よく次々と片付けた後、今度は彼女が自ら運転して廃棄物処理場に運び込んでいた。
その間、こちらは庭の草刈を続けていた。
ラスベガスでの引っ越し作業に加えて長距離フライトで疲れていることもあるが、大昔のバイトを除いては日頃まったくすることがない種類の作業なのでもう本当に疲れてしまった。
ところが、姉のほうはまったく疲れの雰囲気さえ見せることがない。
帰宅したらすぐ夕飯の支度をして翌日の計画を立てていた。
今日は仕事に行っている。帰ってきたらふたりでホームセンターに行き、草刈機を購入して帰り道にプリンターを入手してくる予定である。
私の母親もこうして姉のように毎日休みなく働き続けていた。朝から晩まで何かの作業をし続け、まったく休み時間を取らずにそれを毎日続けられるのが驚異そして不思議でさえある。
さて、姉が帰ってくる前に洗濯物を取り込んで食器を洗っておこう。